1. 使い古された言葉ではなく"自分の言葉で"書く
私たちは本当に豊かな言葉を持っているのです。それをぜひ使ってください! 同僚に宛てて書いていても、まったく見知らぬ人に向けて書いていても、いつでも一番ふさわしい美しい言葉を探すこと。放っておくと、ありきたりの常套句が浮かんでくると思います。でも、「上記のように...」ではなく「私が思ったのは...」と書いたり、「エンドユーザー」ではなく「パソコンを使っている人たち」と書きましょう。比喩的な表現を使う時も「バケツをひっくり返したような雨」なんて使い古された言葉ではなく、「空はどんよりとして、やっかいの種をひっきりなしに落としてくる」など、自分の言葉を使ったオリジナルな表現を探しましょう。
2. 名詞を使う時はよく吟味すること
名詞というのは文章の要です。どの名詞を選ぶかによって、その文章のキャラクター、イメージ、テーマなどが決まってきます。最もイメージにふさわしい、そして正確な名詞を選びましょう。例えば「家」という言葉を使う時、別荘、小屋、二世帯住宅、東屋、古民家、庵、長屋など、色々な選択肢がある中から、「なぜ『家』を選んだのか?」と意識したことはあるでしょうか?
漠然とした名詞を使う時は、細心の注意が必要です(住宅、住居、住まい、居住空間などの抽象的な表現はまた別の話です)。時に、校長先生が保護者の人たちに向かって「コミュニケーションを円滑にする技術は折衝能力を上げるのです」と言ったりしますが、ただ「子どもたちが上手に文章を書けるように助けてあげましょう」と言えばいいのです。相手がきちんと理解できるかどうか、も意識しておくと、よりよく吟味できます。
3. 動きのある動詞を選ぶこと
動詞なんだから動きがあるのは当たり前だろうと思われそうですが、動詞には"静的な動詞"と"動的な動詞"があります。静的なものは、「いる」「ある」「なる」などです。動的なものは、「鳴らす」「しゃべる」「驚く」などです。文章を書く時には、最初は知らないうちに静的な動詞を使ってしまいます。ところが、動的な動詞を織り込むと、途端に文章へ躍動感が生まれます。自分の書いた文章を見直して、ぼんやりとした静的な動詞を外し、イキイキとしたものにしましょう。
4. 曖昧な表現は避けること
名詞をよく吟味すると、無駄な形容詞を使わずに済みます。また、動きのある動詞を選ぶと、無駄な副詞も使わずに済みます。あとは、あいまいな飾り言葉を無くすようにしてみましょう。例えば、「私の頭の中の景色」と「私の想像力」を比べてみてください。余計な修飾語をいくつも使うのはやめて、分かりやすい1つの単語を選びましょう。
5. 書き手の立場に合わせたトーンで
すべての文章は会話と同じです。その文章で、読み手と自分がどのような関係性でありたいのかを明確にしましょう。権威ある作家なのか、流行を先読みする人なのか、賢い友人なのか、どういう立場で書いていますか? 立場や関係性に合わせて、会話のように文章のトーンも変えてください。権威ある立場ならば、凛とした厳然たる言葉で「指示語を使えば、信頼を得ることができるでしょう」。気兼ねない友人のようにしたければ、くだけた言葉で「読んでる人に話しかけたらいいんじゃない?」。読者と同じような立場で言いたければ、"私たち"という言葉を使って「どんな文章を書く時でも、私たちはみな悩んでいるのです」。一度立ち位置を決めたら、決してそれからブレないことです。
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