金曜日, 1月 30, 2009

本当に忙しいときでも GTD の効果を引き出す7つのポイント

1. 常に「収集」し続ける

多忙な状態にあっても、周囲は待ってはくれません。不意に電話がかかってきたり、急に書類の提出をもとめられたりと、次から次へと「何か」はやってきています。

こうした全てを頭で記憶していてもいいのですが、そのうちに頭が爆発しないようにしておくためには、やはり常にそれを収集し続けなくてはいけません。多忙なときはいま抱えている仕事で頭がいっぱいになっていると思いますが、その大事な仕事を一刻も早く仕上げるためにも、「それ以外」のものを書き留め、集中力がぶれないようにしておきましょう。

これはふだんのメモ用紙、手帳でもいいですが、本当に困っているときは A4 の白紙に次から次へと入ってくる情報を書き留めるということをしています。

2. 心配事を全部書き出す

多忙なときというのは、たいていいろんな人に何かを待ってもらっていますので、自分でも責任を感じて心が痛くなっています。

でもこの心の痛みが今やっていることに対する手を止めてしまうようでは、両方が共倒れになってしまいます。

こうしたときは心配事を全部別の紙に書き留めて、「これが終わったら必ず対応するリスト」として、とりあえず頭のなかからは退場しておいてもらうのが有効です。

心配事を書き留めたからといって心配事がなくなるわけではないですが、「全ての懸案事項がここに書いてある」という感覚は心を少し軽くしてくれます。

GTD の言葉でいうと、「リストが自分の代わりに心配してくれている」という状態を作るわけです。

3. 「今何をしているのか」を常に書く

私はもう Doing リストなしには毎日の本業が進まなくなってしまいました。複雑な計算や、プログラミングの手順と雑用を平行させるためには、「いま、これをやっている」ということをちゃんと目の前に書いた上で始め、終わったらチェックをするという作業を欠かさずやっています。

これは GTD でいうと「ネクスト・アクション」に集中しているという状態ともいえます。複雑な ToDo リストが作れるのならそれでもいいのですが、それさえも難しいときは「What is the next action?」と自分に聞き続け、それをとにもかくにも片付けてゆくことが少しずつコントロールを取り戻すきっかけになります。

4. すべてのアクションの時間を測る

これは GTD の習慣には含まれていませんが、ネクスト・アクションを維持するのに大事な点です。

Doing リストに書き込んだ項目が 15 分以内に終わっていないのなら、それは思った以上にいま直面している作業が難しかったり、前提条件がクリアされていないか、あるいは仕事から漂流し始めているせいであることが多くあります。

そこで常に 15分タイマーで時間を細かく刻みながら作業を進めて、過剰な時間がかかっている作業はやりすぎていないか、難しく考えすぎていないか、ダイエットできる点はないかを「経過時間」という物差しで測りながら進めます。

5. プロジェクト・コンテキストの分類はあとで

GTD というと、「シングル・アクション」のタスクなのか、プロジェクトなのか、コンテキストはどうする? といった分類が求められますが、忙しいときにこれをやっていてはどうにもなりません。

まずはすべてを Inbox に入れて、そこから「次のアクション」を探したり、まとめて取りかかることのできるタスクを探したりします。分類や美しい構造を作ることは後回しです。

ただ、入ってくる情報に「やるべき時間」と「するべき場所」のタグを付けるだけでも最低限の手間で GTD らしいメリットを享受することができます。

大事なのは「頭が空になって物事が進んでいること」であって、GTD のシステムの美しさを維持することではない。この点を意識しましょう。

6. 半日ごとにミニ・レビューでバランスを取り戻す

デスマーチ中には、たった半日でもいろんな雑用や雑念がたまってしまうのが普通です。でもそれを放っておくと焦り、恐怖、自己批判がやりきれないくらいにたまってきます。

たしかマルティン・ルターだったと記憶していますが、彼は「私はこのほどあまりに忙しいので、朝にさらに時間をかけて祈りを捧げないといけなくなっています」と手紙に書いています。祈ること、つまりは心中告白することで仕事に向かうためのエネルギーを得ていたのです。

だいたい半日ごとに「やるべきこと」「心配なこと」を白紙の紙に書き付けるために 15 分をとるだけで、その半日の効率がまったくかわるので不思議です。

ペース作りのためにも、このミニ・レビューはおすすめです。

7. トリアージを実行する

David Allen も言っていますが、GTD ができているというのは「全てが片付いている」とということとは違います。大事なことなのでもう一度書きましょう。”Getting things done is not about Getting Everything Done”.

仕事というものは状況が悪ければ犠牲にしなければ部分が生じることもあり得ます。しかしそれ自体は GTD を失敗したことではない、ということを覚えておいてください。

その上で、どうしても時間に対して入りきらない仕事を断ったり、縮小したり、再度関係者と協議するといった「仕事のトリアージ」を行えるだけの決断力を備えておきましょう。

この「自分」と「仕事」との間の境界線を再設定できる能力は頭を空のままにしておけるかというキャパシティに大きく関わってきます。
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GTD は「ストレスフリー」仕事術と呼ばれますが、それは何も「ストレスなしに仕事を無限に片付けられる」という意味ではありません。

「いま」「ここで」何をやるべきかを判断するためのすっきりとした頭を維持できていて、荒れ狂う現実は Inbox と ToDo リストに納められており、いったんそれを開きさえすればストレスなくタスクに向き合える、ということなのだといえるでしょう。

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